水平線

そのころ、海辺に行くと、
はるか遠くに、海の終わりが見えていた。
「水平線」という名前は知らなかった。

子どもながらに思った。
海の終わりの向こうは、きっと崖だ‼
海の水は、その崖から流れ落ちているんだ。
「水平線の向こうは、たぶん滝 …」

水平線すれすれを進む船が見えると、
大声で叫んだ。届くはずないのに。
「あぶないで~!」
「もっとこっちに()いや‼」
「はよう〜!」

いつのころからか、水平線の向こうにも、
海が続いていることを知った。
陸があることも知った。

29歳のとき、海の向こうにある
ニュージーランドに行った。
空から見た海は、切れ目なく続き、
どこにも滝はなかった。

そして、水平線の向こうに、
もっと、もっと、もっと、進んでいくと、
見えてくるんだろうな、きっと …
自分の背中が …

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